マイクロ水力発電「ペルトン水車」への取り組み~屋久島報告

2014年1月6日 02時37分 | カテゴリー: 活動報告, 環境・平和

  水の流れる勢いで電気を作る水力発電は、需要の変動に関わらず出力100%で運転し続けるベース電源として屋久島では活用されています。まちの公民館には嶽野川発電所で使われているフランシス型の水車を、子どもたちは小学校の授業でスケッチし、普段から生活の中で慣れ親しんでいます。そういう素地が屋久島にはあります。屋久島の年間雨量は、5000mm~10000mmあります。そのことを活かす施策を屋久島は実践していました。

ログキャビン風建屋の中にペルトン水車があります。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 

ペルトン水車建屋の裏

さて世界遺産にも登録された屋久島、「もののけ姫」の舞台となった白谷雲水峡には多くの観光客が年々訪れます。山での課題は、トイレ!です。

 平成7年当時、鹿児島県の推薦で環境庁の屋久島環境文化村構想特例措置(約2億円)補助で、白谷雲水峡のトイレの電源には、太陽光発電か水力発電かの議論の末、太陽光発電が使われました。
 「えっ、なんで!」と私も思いましたが、もちろん地元(旧上屋久町)も水力発電を提案しましたが、上部水槽の給水源が未知数であり、ゴミ、砂等の除去策について確立されていなかったため、鹿児島県は太陽光発電を選択したそうです。
 そして平成13年、公衆トイレの電気供給源の太陽光発電は、蓄電の耐用年数5年で老朽化し、入力は働いても蓄電の出力が働かず、トイレの浄化装置が停止状態でした。蓄電池を交換し、維持管理していくには経費が約400万円~500万円かかると試算されました。
 旧上屋久町では、以前水力発電が導入できなかった経緯を含め、日本山岳会の方から長野での事例を聞き、また上屋久町の上水の水道課の技術を取り入れ、先の課題を解決しました。そこには屋久島町の職員の方々のベース電源を水を使った発電で取り組みたいという熱意の賜物です。企業との共同連携とともに、ゴミ、砂等の塵芥を除去する技術(ウォータースクリーン・・・のちに企業が特許取得)は水道課の職員、導水管の配管の技術は建設課の職員、そして屋久島の豊かな水環境を活かす、水力を使うという思いのある職員たちの叡智で実現しました。
 費用は、平成13年度鹿児島県の新観光ルート施設整備事業(1/3)と過疎債を導入して、発電機室電気設備設計と発電機設置及び発電機建屋の建設をジーエス技術サービス(株)が約860万円で請け負い、製作を地元建設業者が約800万円で請け負い、総建設費約1660万円で設置しました。公衆トイレの浄化電源、トイレ照明、管理棟照明等の3kWを十分賄える、5.8kWの「マイクロ水力発電」が出来上がりました。電気として使用する以外の2kWをニクロム線を通じてお湯として川へ排出されています。(せっかく発電した電気!足湯として活用してはどうだろうか?な~んて思いました。)
 当初設計では、総落差72m、配管距離43m、水圧管には配水用100mmPEを使用し、使用水量15㍑/秒確保し、単射ペルトン水車を採用する予定でした。
 その後、上部水槽設置予定地が増水時に水没の可能性があり、設置位置を3m上部の台地に移動し、上部水槽上流50mの枝沢と200m上流の本流の2か所から取水することにしました。また発電機棟が対岸となり、配管が540mとなり、また当初予定の100mmPE管でなくたまたま75mmPE管を2本を接続し、水車入口弁手前に合流用レジューサーを設け、配管配水用のバイパス弁を経て100mm径の水車入口弁に接続しました。配管の長さは伸びたものの総落差は70mとなり、75mmPE管×2本の採用で圧力管内の流速が落ち、結果的に損失落差が減少して有効落差は4kW発電時で70mとなり、使用水量も大幅に減少できましたが、水車タービンの製作にかかっていたため、設計変更はしなかったそうです。水量を十分に確保し、各種制御器を整合すれば、6kWの電力取得も可能な設備になります。
 

コンクリートの中に浮遊ゴミ除去のウォータースクリーン!

小水力発電の課題である浮遊ゴミ除去対策は、ウォータースクリーンの三室構造の鉄筋コンクリート製の上部を設け、原水の取水口に荒ゴミ取り用の簡単なストレーナーを設け、流入水の浮遊ゴミ、砂、エアー等を除去し、清浄な圧力水を水車タービンへ供給します。発電機の建屋は、ログキャビン風の外観でマイクロ水力発電のペルトン水車が見える透明のガラス窓がありました。建物には、白谷雲水峡の地図があり、水車の取水がどこから配管されているかボタンを押すと地図のその箇所が点滅するようになっていました。
 水車はペルトン水車の特性を生かし、タービン室の側板を透明強化アクリルとし、外部からタービンの回転が観察できる構造で、自然エネルギーの水車が視覚的に体感できるようになっていました。発電機は同期発電機で、Vベルトで水車タービンと連結して回転数を確保し、制御盤には負荷の変動に連動した自動定電圧制御装置、自動周波数制御装置を内蔵し、100V/60Hzの安定した電源を供給していました。 
 このペルトン水車は設置されて3年目の時に羽の摩耗による故障が発生し、ライナ調整、ベアリング調整、バランス調整等を行っています。修繕費は30万円程度で、3年~5年で修繕について考えなくてはならないそうですが、先述の太陽光発電で設置時の蓄電池への修繕費と比較しても、マイクロ水力発電を電源とするほうが後々においてもコストパフォーマンスが高いことがわかりました。

 今後国の動きにある水利権への河川法改正で東京でもマイクロ水力発電等、可能性が広がってきています。屋久島での取り組みを参考に考えたいと思います。