生活をリメイク!多重債務者を支援する生活再生事業

市民が市民を助ける仕組み『生活サポート基金』の活動

 医療費、学費、冠婚葬祭費など・・・生活費が足りなくて、消費者金融でお金を借りてしまう。借金は雪だるま式に増え、ヤミ金に手を出す、そこから逃れられない状況に陥ります。ギャンブルや遊興費のための借金ではない人たちが増えているのです。今、多重債務者は190万人、そのうち東京に、約一割の19万人いるといわれています。多重債務問題は、法的手続きや適切な生活相談で解決できる問題です。東京都の多重債務者生活再生事業の受託を受けた『生活サポート基金』の話を伺いました。
写真上、生活サポート基金のリーフレット

 いっときテレビから、女優や華麗なダンサーによる消費者金融のコマーシャルばかり流れていました。その金利は、高金利で最高で29.2%にも及ぶ約定金利は、利息制限法という法律に反した違法な金利なのです。利息制限法によって18%(10万円以上100万円未満)を上回る利息契約は無効。違法な高金利は過払い金として取り戻すことができます。

 生活サポート基金は、相談者と「顔の見える融資」(相談者との顔の見える関係を構築することによって、相談者のリスクを下げる地道な努力としての、丁寧な事情聴取、具体的な解決方法の相談、事後のモニタリングを前提として、返済能力が見込まれ、多重債務問題の解決に資する場合に限って、低利の貸付けを行うこと)を行う、いわば「日本版グラミン銀行」モデルを広げていくよう取り組みます。金融庁もセーフティネット貸付に非営利機関の活動に期待しています。

 生活サポート基金へ委託をし、東京都も本腰を入れて多重債務者生活再生事業にこの4月から取り組みはじめたのです。

 先進モデルは、岩手の信用生協。岩手県は、各自治体から預託金を11億円集め、いち早く多重債務問題に取り組みました。貸し倒れ率が0.3%です。法テラスが50%という中、顔が見える融資をすることで成功しています。全国に福岡、秋田、東京と広がってきているのです。

 さてこの取り組み、どれだけの職員が知っているか。東京都の肝いりで始まった事業です。担当課は生活文化局と福祉保険局との二つの部門。昭島市の場合、東京都福祉保険局から福祉部長会で説明を受け、担当職員にも情報は伝わっていました。消費者相談の窓口担当である市民部には、東京都生活文化局から情報が伝わっていませんでした。

 行政は縦割り、しかし市民は縦割りでは動いていません。

 せっかくのセーフティーネット貸付への取り組み、基礎自治体の担当課で情報を共有できるようすべきです。行政のあり方も考えさせられました。