【視察報告】地下水都市熊本の水質•水量保全の取り組み

視察二日目は、熊本市の地下水保全の取り組みを視察しました。(2015年10月20日)

熊本市は、人口74万人の政令指定都市で、水道水を地下水で賄っています。全国でもいち早く!昭和52年に熊本市地下水保全条例を制定し、地下水を水質•水量の両面から保全し、将来に継承していくために平成19年12月に地下水を総合的な条例として改正しました。
地下水質の保全には、ドライクリーニング、工場等から排出される有機塩素系化合物や施肥、畜産等の影響による硝酸性窒素等に調査、監視、指導を関係部署と連携し、地下水汚染対策を取り組んでいます。
地下水量の保全には、地下水採取量の把握を行い、平成16年3月には、熊本市地下水量保全プランを策定し、地下水の循環利用、水利用の合理化、雨水有効活用、白川中流域の水田湛水、水源かん養林の整備、森林ボランティアの育成、米作り体験実施等広域連携をしています。
平成21年3月には、量•質の両面から取り組む今後5年間の保全対策を示した熊本市地下水保全プランを策定、昨年平成26年3月には、第二次熊本市地下水保全プランへ改定しました。

視察した日も担当職員は、地下水水質保全班と水量保全班の方々から話を聞きました。

注目すべき取り組みは、平成7年と17年に熊本市の水脈を調査し、水源がどこか!把握していること。その上で施策として水源林への植林をし、スギ、ヒノキから始まり、現在広葉樹を植えています。植樹をする周辺の町、村とは、100年の契約を結び、樹木収益が出た場合、6対4で分けることも明記されているそう。平成30年度までに5町2村に825.40haほどの水源かん養林が造成されます。

もう一つ私が注目した事業は、水田に作付がされない時期に水をはる湛水事業!水循環型営農推進協議会が熊本市と地元農家の仲介をし、白川中流域の転作田で、営農の一環として行われる湛水に対して、熊本市が助成し、地下水のかん養を促進します。人工的にできるかん養は、13000万t~14000万t、そのうち水田に水をはる湛水事業で7000万tかん養できるそうです。

熊本市は、1億2000万t水を使用しています。残念ながら水収支という視点では、計画されていませんでしたが、地下水汚染への徹底した取り組み、地下水へのかん養の取り組みに目を見張りました。

さて昭島市は条例制定への動きはまだありません。9月の決算委員会で、私は水脈の調査、飲んだ分だけかん養する計画等を提案しました。昭島市は、平成17年度に水脈調査してから10年、再度調査の必要性も窺える答弁でした。引き続き地下水100%の水道水の恵まれた昭島市として、しっかり地下水水質の保全、水量の保全について提案していきます。