DV被害者支援には窓口現場での具体策が必要~公務員こそ!憲法思考回路で業務にとりくむべし

 以前「DV被害者へ継続的援を!」でブログに報告(https://ootake.seikatsusha.me/blog/2009/10/29/3557/)していますが、今年はじめに起こった事件について、先日DV被害者への同行を通じて、私は痛切に継続した支援が必要であることを実感しました。

 議会質問でもたびたび庁内連携を指摘し、窓口ワンストック化等、DV被害者への二次被害を含めて、体制、職員のDV被害者への人権意識を悉皆研修すべきことも取り上げてきました。しかし一番DV被害者と接する窓口現場では活かされていませんでした。

 というより法に照らし合わせて動く公務員にとって、議会での答弁ではなく、淡々と事務作業が行われていることを目の当たりにしました。本来公務員が遵守すべき憲法の趣旨から考えるという思考回路が必要であることも実感しました。
 今年はじめに起こった事件は、「住民基本台帳事務へのDV・ストーカー行為等・児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者保護の支援措置」の申請どおり、窓口で行われず、子の氏改正、転籍、住民票の移動が加害者夫同伴のもと行われてしましました。(そのことへの市の答弁は末尾に議会でのやり取りを抜粋しました。)
 そして「住民基本台帳事務へのDV・ストーカー行為等・児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者保護の支援措置」の年一回の支援更新の時期、窓口職員の方々と話した結果、例えば加害者以外の家族が住民票交付へ来た場合は、交付することがわかり、支援措置申請者本人にも連絡がいかないことがわかりました。申請者本人の住所が何らかの形で発行される場合、本人への連絡と婦人相談員との連携は不可欠だと私は思います。申請者本人はDV被害者だということなのです。

 しかし現在市の言い分は、「住民基本台帳事務の支援措置」の手続きに則っているの一点張り!なぜか「DV・ストーカー行為等・児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者保護の支援措置」という言葉が職員からは発せられないのです。ほかの「支援措置」として同様に扱われるということです。

挙句に、
「26市各市横並びの対応」「東京都がしてくれば」・・・ありえない言葉が職員からの発言です。

 そもそも住民基本台帳事務へのDV被害者の支援措置は、被害者の住所が加害者にバレナイようにすることであり、逗子市のストーカー事件等さまざまな手口を使い、加害者は被害者住所を探ることはわかりきっていることのはず。今回の市の対応を巡っては、今回の事例だけではなく、多くの危険性をはらんでいることがわかりました。納得にいく対応ではありません。
 窓口の方は、婦人相談員と連携とれている、議会答弁の庁内連携はしているとのことでした。しかし現場の対応は、不十分です。今後も引き続き、DV被害者への窓口事務への対応のチェックを含め、具体的な仕組みを提案していく必要があることを実感しました。

2013年第2回定例会の一般質問より抜粋(*この議会でのやりとりから、みなさんはどのようにに読み取れますか?私は、てっきり昭島市の庁内でのDV被害者への対応の仕組みはできると信じていました 😯 )
【大嶽質問】
昭島市総合オンブズパーソン調査、是正勧告から見える、DV被害者支援対策における関係機関について、早急に体制づくりをしよう、についてお聞きいたします。私は、DV被害者支援対策については、議会でたびたび質問してきました。DV被害者への支援は、継続した支援が必要であり、行政みずから二次被害、三次被害を絶対起こしてはならないことです。今回の案件は、行政による人権侵害、過誤、二次被害そのものであり、さらにオンブズパーソン制度を利用するに至ってしまったこと自体は、危機管理意識さえ危惧される事態ではないでしょうか。オンブズパーソンによる調査、是正勧告の内容は、本来起こってはならないことだというふうに私は痛感しています。今回の案件に関しては、DV被害者である本人から明らかにしてほしいという同意のもと、お話しさせてもらいます。  1999年6月、昭島市内で、国際結婚が破綻した元夫の暴力から逃げていた離婚調停中の母親から、当時8歳と7歳の子ども2人を国外へ連れ去った事件がありました。離婚調停後、親権は母親になりました。しかし、国外へ連れ去られた子どもは戻ってきませんでした。母親は、子どもたちも虐待を受けているのではないかと、危険な目に何度も遭いながら子どもを探し続けていました。そして、パスポート更新時をきっかけに、10年ぶりに子どもと再会することができました。上の子だけが、元夫の虐待から命からがら逃げてきました。追いかけてきた元夫は、国際移送誘拐の罪により逮捕され、裁判が4年前の2009年に東京地裁立川支部で開かれました。当時、昭島市の婦人相談員の方も傍聴されていました。注目すべき裁判でした。元夫には有罪判決が言い渡されました。その後、母親は下の子どもに関しても戻ってくるのを待ち続けています。  昭島市に対しては、DV被害者である母親が、子に関しても「住民基本台帳事務におけるドメスティックバイオレンス及びストーカー行為等の被害者保護の支援措置の申請」をしていました。母親は当然、支援措置が職員に周知されていると疑っていませんでした。子の確認が申請どおりの記載が住民情報システムへ反映されていなかったこと、厳格な審査が行われなかったことは、重大なミスだと思います。そのために戸籍から子どもが抜かれ、氏までも元夫へと変更され、住民票まで移されてしまう手続がいとも簡単に行われてしまったことは、あり得ないことだと思います。  加害者が手続に来庁する可能性が高い窓口で、対応する職員のDV被害者、犯罪被害者への人権意識の低さ、危機管理への意識の低さを指摘せざるを得ないと思います。オンブズパーソンが容認できないとの指摘にもあるように、大きな問題だと思います。  私は今まで議会答弁から、DV被害者への現場の職員同士の連携はとれていると信じておりました。本来なら、勧告が出たから是正をするということでは問題外であり、前回、12月議会においても庁内連携の際、市の議会での答弁が実は実態がなかったことに関しまして、憤りを感じております。  そこでお聞きいたします。初めに、全職員の人権、犯罪被害者への人権意識を高めるための研修、特にDVの被害者への理解を高める研修をすべきと思いますが、市の御所見を伺います。  昭島市総合オンブズパーソンの調査、是正勧告から、現状の支援体制の課題を早急に解決すべきではないかと思います。御所見を伺います。DV被害者が窓口等に来庁したときに、最初から話せばならないことは、二次被害、三次被害です。婦人相談員等同行支援体制づくりが必要ではないかと思います。御所見を伺います。 以前から提案しているDV被害者相談共通シートを導入して、情報の一元化を図ってはどうでしょうか。  要綱に基づく現場職員が連携する庁内の連携体制、また警察など外部関係機関との情報一元化など、具体的な連携体制を構築すべきではないでしょうか。御所見を伺います。  早急にDVに関する連絡協議会設置をすべきではないでしょうか。

【昭島市の答弁】
 初めに、職員の人権意識を高めるための研修についてであります。配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する基本的な計画を内包する計画として策定をいたしました昭島市男女共同参画プランにおきましては、人権尊重の啓発に向け、市職員に対する人権研修の実施を主要事業として位置づけております。具体的な取り組みといたしましては、例年、市町村職員研修所が実施する研修へ職員を派遣しており、また庁内におきましても市主催のDV関連の講演会やセミナーへの参加を担当職員に呼びかけるなど、人権尊重意識のさらなる高揚に努めているところであります。  御提言のありました人権意識を高めるための研修、特にDV被害者への理解を高める職員への悉皆研修の実施につきましては、今後職員の研修計画の中で検討させていただきたいと存じます。また、あわせまして、DV被害者への支援にかかる職員の窓口対応等につきましても、各職場におけます職場内研修、いわゆるOJTによる研修の充実などを図ってまいりたいと考えております。  次に、現在の支援体制の課題の解決についてであります。御指摘のございました総合オンブズパーソンによる是正等の措置勧告につきましては、市といたしましても大変重く受けとめておりまして、その具体的な対応につきましては、現在担当部署において慎重に検討を行っているところでございます。  また、その勧告におきましては、オンブズパーソンの御判断として、市の窓口における対応に関しまして幾つかの課題も指摘をされてございます。これらにつきましては、関連部署の担当者による連絡会議を開催し、庁内の連携を図る中で対応策の検討を行うとともに、今回の申立人に対する対応における問題点なども洗い出しをし、今後の適切な対応につなげていく取り組みも実施をいたしたところでございます。いずれにいたしましても、今後こうしたことが再発することのないよう、この連絡会議での検討結果などを十分に踏まえまして、DV被害者支援の適切な実施に努めてまいりたいと考えております。次に、庁内連携体制についてであります。DV被害者支援につきましては、従来案件に応じ、関係部署間の会議等を開催する中で、それぞれの連携をもって全庁的な対応を図ってまいりました。先ほど申し上げましたオンブズパーソンからの勧告における課題等の検討を行った連絡会議も、こうした取り組みによるものであります。しかしながら、今回の件を十分に踏まえる中で、また市の姿勢をより明確にいたすためにも、DV被害者支援の中心的な庁内連携組織を位置づけることとし、本年4月から要綱を策定し、男女共同参画庁内推進委員会の下部組織として、実務担当者などによるDV被害者支援部会を新たに設置をいたしました。今後は、それぞれのケースにおける守秘性を担保しながら、この部会を中心としてさらなる庁内の連携を図り、DV被害者へのより適切な支援に努めてまいります。