「埋める」or「燃やす」いのちを守る森の防潮堤プロジェクトに参加して

 昨年宮脇昭先生は、ガレキを広域で燃やすのではなく、思い出の詰まったガレキを使い、「いのちを守る森の防潮堤づくり」に活かしていくことを提唱してきました。今までのマツなど一種類の林、根の浅い樹木の防潮林は、津波の災害からいのちを守ることができなかった。いのちを守るため、300キロに渡る防潮堤をつくることを84歳の宮脇昭先生は、奔走しています。

宮脇昭先生が苗作りを指導しました。

 ホンモノは違う!と震災以降、政府や官僚、あるいは地元宮城県のトップに会い続け、思い出の詰まった家屋など瓦礫を埋め、海岸沿いにホッコリとしたマウンドをつくり、そこに潜在自然植生のシイ、タブ、カシ・・・等の常緑広葉樹を植えた防潮堤をつくることが、災害に強いまちづくりになると訴え続けてきました。そして宮脇昭先生に会ったトップの誰もが否定はしないが、「自分たちが判断するのではない。」とプロジェクトは遅々として進まない状況でした。そのプロジェクトが今年になって急速に動き始めました。一般社団法人「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」として、細川護熙元首相を代表に宮脇昭先生はじめ、秋元 康氏(作詞家・プロデューサー)、岡田 康彦氏( 公益社団法人日本環境教育フォーラム会長)、佐藤 可士和氏(アートディレクター )など著名な方々が設立しました。

 先日いのちを守る森の防潮堤推進東北協議会の中心人物の仙台・輪王寺日置道隆和尚の苗づくりの研修会に参加してきました。指導は、宮脇昭先生です。北海道から九州まで各地からの参加には驚くとともに、防潮堤づくりに参加したいという熱い思いをビンビン感じました。地元のシイやタブ等の実生を拾ったものを、松葉がいっぱいの水通りがいい箱に植えたものがまっすぐ根を生やし、二葉が出てきているものをポット苗に移しかえていきます。秋に拾った実生は、春には二葉になります。それをポット苗に移植し、2年ほどで1メートルに育つてます。そしていのちを守る森の防潮堤として、植樹していく計画です。

苗作り研修会に参加しました。(2012年7月30日)

 苗作りの研修のあと、輪王寺・本堂で宮脇昭先生からプロジェクトの状況を伺い、驚きました。今、プロジェクトは大きな壁にあたっています。それはガレキとなった思い出の詰まった家は、ヒ素やクロムがあるためマウンドとして活用できないというのが国の方針だそうです。流木はいいが、家はダメだと・・・。なのに「燃やす」のはいいのか、疑問に思います。宮脇昭先生も投げかけていました。ならば、現在の家の何パーセントがヒ素やクロムなのか正確な数値がでてこない。とにかく現状はダメだという回答には納得がいきません。本当に危険なのか? 全国に拡散して「燃やすこと」と「埋めること」は、どちらが環境に優しいのか? クロムやヒ素は猛毒のはず、だけど放射性物質は猛毒ではないのか?素人私でさえ「?」が頭で渦巻きます。宮城県議会も全会一致のいのちを守る森の防潮堤づくりが今後どのように進展するかは注目です。

苗作りの研修のあとは、宮脇昭先生が今の進行状況を伺いました。

 とはいえ苗づくりには、2年から3年はかかります。300キロの防潮堤づくりが進展した場合、間に合いません。宮脇昭先生も里親での苗作りも呼びかけていました。ぜひ東京で「いのちを守る森の防潮堤づくり」の苗作りを展開していきたいと思いました。