自然エネルギー180%の葛巻町視察から考える

昭島市議会厚生委員会視察報告

葛巻町の風力発電(昭島市議会厚生委員会視察)
葛巻町の風力発電(昭島市議会厚生委員会視察)
自然エネルギーで180%以上の電力自給率の葛巻町
 葛巻町は、産業廃棄物業者の土地取得がきっかけで、ミルクとワインの町にはふさわしくないとの町民の思いから、自然エネルギー導入へ積極的に取り組み始めました。1995年の「自然とともに豊かに生きる町」宣言、1999年に新エネルギービジョンを策定。風力、太陽光、熱の「天のめぐみ」、畜産ふん尿、森林、水の「地のめぐみ」、豊かな風土、文化を守り育てた「人のめぐみ」を理念のもと、省エネルギーを取り組みます。1999年に町民が出資した風力発電が3基稼働。産廃業者は事業を断念しました。その後、風力発電を12基設置、太陽光発電、畜産ふん尿によるバイオマス発電、木質バイオマス発電、ペレットボイラー等の多岐にわたる自然エネルギー事業を展開します。雇用も生みだしました。風力発電等の自然エネルギーは町の電力需要量の180%を生産しています。

小規模分散型の地域エネルギー
 ところで東日本大震災での3日間の停電時、目の前の風力発電の風車は回っているが、送電網は電力会社が管理しているため、発電された電気を直接使えない矛盾を町民は実感しました。震災時の経験と町長の公約の「安全、安心のまちづくり」をもと、集落ごとの小規模分散型の地域エネルギーへ今後取り組もうとしています。「25箇所点在する集落ごとに自然エネルギーに取り組むことで危険を分散することができる。集落の特性に合わせたエネルギーを供給するセンターがあれば自治体がとまらない。まずは役場、病院、老人ホーム等公共施設での自立した電気の供給が2〜3日賄える取り組みをしたい」と職員が目を輝かせ語ってくれました。葛巻町の場合、電気をつくる量だけを考えるならば、広大な高原に風力発電を設置すればいいはず。自治体が取り組むエネルギー政策には、小規模分散型の視点を入れるべきだとあらためて実感しました。

昭島市の今後の取り組み
 昭島市では、第5次総合基本計画の中で太陽光発電を2020年までに200kwhに取り組むことや、現在2002年に策定された環境基本計画の10年目の見直しがされています。その中で地球温暖化対策実行計画を新たな目標として掲げ、今後具体化します。厳しい財政下での第5次総合基本計画の目標達成には、議会で提案した市民出資による市民発電所にも取り組むべきではないでしょうか。また国は発送電分離の検討を始めた中、昭島市でも小規模分散型の地域エネルギーの導入について市民や事業者(市内にはキャパシタなど最先端技術で製造する中小の技術者集団がいっぱい)の知恵を借り、協働で取り組んでいくこと提案していきたい。