平和の花”紫金草(むらさき花だいこん)”が咲き始めました

絵本「むらさき花だいこん」

大門高子作『むらさき花だいこん』
大門高子作『むらさき花だいこん』
 まちのあちこちで、薄紫色の花、紫金草(むらさき花だいこん)が咲き始めているのを道端で見つけます。とくに線路沿いに多く自生しているのを見つけます。

 日中戦争のころ、薬学者陸軍衛生材料廠の廠長だった山口誠太郎さんが、南京から花”紫金草”の種を持ち帰り、全国へ広めました。誠太郎さん亡き後は、ご子息と出身地である茨城県石岡の人たちが「平和の花だいこんの会」という会を作り、百数十万袋もの種を配布したそうです。むらさき花だいこんは平和の花として、全国へ広まりました。

 私と”むらさき花だいこん”との出会いは、国分寺で文庫を運営する山崎翠さんから、絵本を手渡されたことから。中国で負傷した兵士が病院にいる時、紫金山で一面に咲いている紫の花を見て、今までの戦争で多くの人を殺してきたことを悔います。そして出会った小さな女の子から花の種をもらい、日本に帰ってからまきました。作者の大門高子さんが創作した絵本”むらさき花だいこん”を4月になると国分寺の文庫の入口に紹介しています。文庫の庭は、むらさき花だいこんがいっぱい咲いています。私はこの本と出合ってから9年、毎年4月の学校での読み聞かせで、子どもたちに伝えてきました。

 年月は経ち、今年の4月は未曾有の大震災で日本全国復興に立ち上がっています。季節は巡り、まちの中は桜が芽吹き、紫金草など草花は春の準備を始めています。変わらぬ自然は無常にも思えます。東北地方の復旧、復興を願うとともに、平和の花が、人々の心の中にも咲きますように。