てんぷら油を燃料にしたバスに乗って、足尾の山に木を植える

環境まちづくりNPOの活動より

竹筒で育てたどんぐり苗を植えます
竹筒で育てたどんぐり苗を植えます
 足尾の山に、1年半昭島で育てたどんぐり苗を植樹してきた。歴史教科書で足尾鉱毒事件は学んで、言葉として知っていたつもりだったが、この目で山を見て、驚愕した。明治の近代化が、あっという間に木を枯らし、人の暮らしを奪っていったことを目の当たりにした。

 足尾の山に向かう道中は、紅葉が始まりかけ、木々が生き生きしていた。そして足尾の精錬所の名残のような建物が見えてきた途端、山肌にはうっすらとした緑。明らかに今までの山肌とは違う。山のてっぺんに木が見えると思いきやそれは以前、足尾の山にアスファルトに種を仕込んで、ヘリを使い空中からまいた木。その樹種もニセアカシアなど外来種です。そのニセアカシアを伐採して、木を植えている。ちなみに植樹した木を食べるニホンカモシカはニセアカシアは食べないそうだ。

 足尾銅山に木を植えることにつながったきっかけは、和歌山県太地町の福西さんの言葉だ。「東京に住む人の責任として、足尾に木を植えなきゃ!足尾では、NPO足尾に緑を育てる会が、木を植えているよ。」どんぐり苗の育て方も福西さんの方式で行った。1年半ほど昭島で拾ったクヌギやシイを、山の土を少し足した土に腐葉土も混ぜ、竹筒で育てた。その竹筒ごと足尾の山に植樹した。

 NPO足尾に緑に育てる会は、足尾に100万本の木を植えようと活動している。15年間で10万本植えた。毎年植樹への参加者が増えているそうだが、100万本達成を見届ける人は、おそらく今生きている私たち人間にはいないだろう。10万本の木は、しっかりと、そしてゆっくりと足尾の山に根付いていた。自然の再生に目を見張るとともに人間の営みのはかなさを痛感させられた。

 さて当日は、てんぷら油100%のBDFを燃料のバスを有限会社リボーン<エコツーリズム・ネットワーク>から借りた。リボーンのBDFは、杉並区の学校給食の廃食油を、杉並区の社会福祉法人いたるセンターが回収したものを使用しているそうだ。まさに地域の中での連携で循環型社会を形成している。

 11月3日文化の日らしい、充実した1日だった。