避難所のトイレは75人に1基設置!?

 未曾有の東日本大地震から3年目を迎えようとしています。東京都は、昨年首都直下型地震だけでなく、多摩直下地震や立川断層帯地震も想定した地域の防災計画が改定されました。改定された東京都の地域防災計画では、新耐震基準が導入された1981年(昭和56年)以前に建てられた建築物、市民意識調査において市民の約30%しか家具転倒防止の対策をしていない状況等から、昭島市の自力脱出困難者が試算され、その数は大幅に増えています。地域の中で助け合いの仕組みは必要です。阪神・淡路大震災の時、地域で助け合い、自力脱出困難者の生存率をあげたという報告があります。

 また現在の2007年(平成19年)改定された地域防災計画では、約18000人が避難すると考えられていました。今後の改定に向けては、家屋を失い自分の家で避難できない人が30000人、帰宅困難者が25000人で合計55000人を見込んでいます。帰宅困難者については、東京都の帰宅困難者条例が4月に施行されると企業の努力義務により、企業が備蓄を含め、収容について確保すると予測しています。しかし企業が帰宅困難者すべての人を確保できるとは限られません。また大幅に増えると予測される避難者を収容するには、現在避難所に予定されている体育館だけでは収容できません。備蓄においても、現在の計画では、十分に対応ができません。 

マンホールに設置するトイレが市役所のロビーで展示されていました。

例えばトイレは、昭島市はマンホールへ設置するトイレを備蓄しています。その数は現在152基。来年度末までに24基を購入し、現在の地域防災計画で想定している100人にトイレ1基である目標数の176基を充足します。

 しかし大幅に避難者が増える東京都の避難想定において、トイレの目標充足数は、75人に1基に改定され、今後は昭島市の場合400基必要となります。今年度、当初目標が達成されたとしても、改定で224基のトイレが不足することになります。

 現在トイレの備蓄は、44の避難所に1基のみが備蓄され、残りは9か所の備蓄倉庫で分散して保管されています。市の計画では、災害時に避難所の開設を決めた場所へトイレが集められます。そしてマンホールに設置をしていきます。

 公園等一時避難所や広域避難所にもトイレが設置できるマンホールがあります。33の市内の都市公園に41の大型桝にトイレの設置ができます。しかし一時避難所とされている都営中神アパートの地域にある新生公園と富士見公園、みほり広場、緑ヶ丘公園、拝島自然公園、水鳥公園には大型桝がなく、トイレを設置することができません。そもそも都市公園が設置される時、災害時を想定していないため、公衆トイレがなく、桝がないことが調査でわかりました。マンホールへのトイレ設置には、市民の協力が必要だと市は考えています。しかしトイレのことを十分理解している市民はどのくらいいるのでしょうか。備蓄の一つであるトイレについては、市民の関心は高いはずです。啓発もかねて、十分市民自身が情報を入手できる仕組みも必要ではないでしょうか。

 さて昭島市の地域の防災計画策定、防災会議、避難所運営等には、女性の登用で、きめ細かな視点を活かすことを私は提案してきました。改定に向けて、市は、東日本大震災で現地に行った女性職員とともに部会を立ち上げました。防災会議への女性の配置も検討されていることは、高く評価しています。

 今後市の地域防災計画は、今年度改定素案が策定され、5月頃防災会議で審議され、その後素案をもとに市民説明会を開催し、市民からパブリックコメントを取る予定です。そこでの市民の意見をもとに素案を修正し、再度防災会議で審議し、地域防災計画を改定していきます。

 市民説明には、市内にある99の自主防災組織や自治会中心に組織された防災への取り組みが進む団体、災害弱者を抱える家庭等へ出向き、十分な説明と意見を聴くことが必要だと考えます。

 今後の市の動向に注目するとともに、市民のさまざまな意見が十分に反映され、市民が使いこなせる地域防災計画に改定されるよう、地域でアンケート調査等市民の声を聞きながら、継続して議会で取り組んでいきます。