まずはデートDVプロジェクト・おかやま代表の川崎さん(弁護士)から、なぜプロジェクトを結成したのか伺いました。
川崎さんは、犯罪被害者を支援するNPOの活動で、2005年DVで眼底骨折をした女性(交際中からも暴力をふるわれていた)の裁判が終わっても、身内からも理解されない、戻る居場所がない、孤立化していく女性への支援を通じて、予防教育が必要!と結成しました。
20代前後での被害者には、世間では虐待ともDVとも扱われない狭間の問題があると気づいた弁護士、性教育活動をしている医師、社会福祉士、人権教育に取り組むCAPにかかわる人たちがデートDVプロジェクト・おかやまのメンバーです。
2005年10月に設立し、高校、大学へのアンケート調査や啓発活動をしました。2006年には、内閣府の補助金で岡山県研究事業として、「恋する2人のまじめな相談掲示板」を開設しました。研究事業終了後の現在、日本財団などさまざまな補助金で運営されています。
アンケート調査から、中、高大学生の相談相手は、大人ではなく同年代の友達であるとことがわかりました。掲示板では、緊急な対応が必要なもの以外、当事者同士が支えあう掲示板にしています。開設以来、3万件以上のアクセス数で、24時間体制で管理しています。
相談相手が友達だからこそ、ピアサポートの大切さ、友人から相談を受けたらどうするかなど中高生自身が学ぶ学校教育でのデートDVへの取組が必要です。
岡山県教育庁は、全中高校生へデートDV防止のリーフレットを学校を通じて、各家庭に配布しました。バレンタインに合わせてポスターを掲示したり、成人式ではカードを配布します。
またプロジェクトは、岡山県の教育委員会と連携し、教員の研修、PTAの要請に応じます。さらに家庭裁判所の調停員や警察官にも研修をすることで、DVへの対応に女性警察官の配置や調停員の意識も変わってきました。
岡山県男女共同参画課は、デートDV意識調査の結果/分析、掲示板開設時の運営、中高生がアクセスしやすい体験型ゲーム(「岡山県 サンカク ストーリー」で検索)に取り組みます。
岡山県が人権教育として、デートDV防止のための教育が必要であることをしっかり捉えて、関係する担当部署が横断的なマトリックス会議を2週間に1回開催していること、(財政が厳しい中)「お金がないなら知恵を出す」という職員の言葉にも頼もしく思いました。行政ができることへの取り組みだけでなく、民間との連携でさらに広がりのある活動をしていました。
プロジェクトメンバーであるCAPにも関わる為清さんは、
「人権教育は、中高生では遅い。就学前に必要である。」と言います。いじめ、親子関係での暴力は、健診を通じて早期に子どもや保護者が学ばねばなりません。今後子育て支援課とも連携し、実施していくそうです。
県職員もプロジェクトメンバーも、岡山県の中高校生には、男女平等教育が身に付いているといいます。しかしその後大学や専門学校へといくに従い、「女は尊・・・」だとか意識が下がることを課題と捉えていました。
「根っこは人権尊重、自分と同じ大切な人がとなりにいる」と共通に思っている岡山の取り組みに感動!当たり前のことなのに、なぜ東京では進まないのか!とあらためて腹立たしく思いました。
さて昨年12月の昭島市議会で、学校でデートDV防止のための教育に取り組むべきと質問しました。デートDVという言葉は使わないが、道徳教育で取り組んでいると答弁。そもそも道徳教育と人権教育は、違うのではないでしょうか。