どの子もわかる授業づくりについて

3月議会一般質問より①

通常学級での特別支援教育のスタンダード(東京書籍)
通常学級での特別支援教育のスタンダード(東京書籍)
 どの子もわかる授業づくりとして、ユニバーサルデザインという視点が教育現場でいかされています。ユニバーサルデザインとは、バリアフリーを一歩進めた考え方で、障害のある人にとっても、障害のない人にとっても住みやすいまちを作るという発想です。この視点を教育で取り組むと、クラスの中のすべての子にとってわかりやすい対応や工夫をしようということで、インクルージョン教育の理念につながります。

 日野市では、公立小中学校25校の教師650名が2年をかけて「通常学級での特別支援教育のスタンダード」を研究し、東京書籍から出版。自己チェックやユニバーサルデザイン環境の作り方を実践してきた現場の先生方の成功事例をまとめあげています。70以上の事例や150近い工夫が掲載されています。絵や図を使い、特別支援教育の視点、ユニバーサルデザインの観点を具体的にしたことで、現場で即実践できる取り組みだと思いました。日野市では、教師全員に配布し、夏に行う全教師対象の研修で使われ、新しく日野市へ赴任される教師にも研修していくそうです。本の名前は「通常学級の特別支援教育のスタンダード」ですが、結局は「通常学級での教育」にいかされる内容です。日野市も「ひののスタンダード」として位置付けています。東京書籍には、他の自治体の教育委員会からも問い合わせがあります。日野市だけに関わる手法ではなく、昭島の子どもにおいてもいかされる内容だと思いました。

 さてどの子わかる授業づくりとして、現場の教員が成功した事例など共有するために、教育委員会が積極的に応援すべき体制づくりが必要という視点で教育委員会の役割を聞きました。スクールプラン21、学力向上推進計画など学校が必要な施策を選択し、効果的な教育行政をしているというものの、まだまだ成功した現場の事例の情報が共有しきれていないことを指摘しました。

 特別支援教育が必要とされる児童・生徒について、東京都の調査で通常学級の中に約4.4%の児童・生徒が該当するといわれています。2010年度市内では、小学生は46名、中学生は12名の情緒障害通級指導学級に通級。在籍児童・生徒の約0.7%です。過去小学生は、2007年21名、2008年22名、2009年23名、中学生は2007年4名、2008年8名、2009年7名という数字をみると、確実に増えています。東京都の特別支援教育の第三次実施計画の推計値をみても増加すると予測しています。

 ならば、通常学級でどの子も分かる授業づくりをすることで、学級経営も上手くいくのはないでしょうか。

 昭島市は、特別支援教育推進計画を2011年度に策定します。そこで、ユニバーサルデザイン授業の視点を取り入れるべきと提案しました。市はユニバーサルデザイン化について評価するものの、計画策定に当たっては、昭島市の研究授業など実践事例を研究しながら、昭島市の実態に合う形で策定すると答弁。引き続き、どの子もわかる授業づくりのツールの一つとして、「ユニバーサルデザイン授業」の視点で計画策定しているか、チェックします。