「まちの縁側」は「まちの小さな公共空間」

NPO法人まちの縁側育み隊代表理事延藤安弘氏をお招きして

NPOまちの縁側育み隊代表理事延藤安弘氏
NPOまちの縁側育み隊代表理事延藤安弘氏
 「モノ、カネ、セイドはあくまで手段、『ヒト』ありき、『クラシ』ありき、『イノチ』ありき」という延藤氏の言葉が私の胸に響いた。今日は、名古屋で「まちの縁側」でコミュニティーの再生を実践している延藤氏を招き、多摩北エリアの生活者ネットワークが主催し、学び合いました。

 まちの縁側とは、何かが喚び起される場所。子どもと高齢者、生活者と専門家、市民と行政の出会いの場所です。縁側で打ち解け、交流し、何かが生まれるかもしれない。違う価値観や経験と持ち味を持った人々が対面する場所です。

 NPOまちの縁側育み隊は、2002年から実践し、2003年にはNPO化し、多世代が交り合う活動を実践しています。そこは市民発であり、自由な発想、 豊かな発想で交流し、ヒトとヒトの関係や信頼を紡いでいます。「民発民賃民営」で運営管理。場所を提供したいという市民がいて、そこの場所をキルトやパッチワークの手仕事をしたり、古着や古帯を解いてミニ着物に仕立て直す「縁側サミット」を開催したり、一品持ち寄りで会議をしたり、そこにはヒトとヒトのつながりに満ち溢れています。行政が支援したいというのは、な〜んと後から。
 今やまちの縁側は長野市にも広がっています。長野は、今あるまちの縁側を探し、発見しています。始まって5年間で2000箇所発見。5000か所をまちのあちこちに作ろうと活動しています。

 さて元気をいっぱいいただいた延藤氏から居場所作りの10のキーワードを教えていただきました。
1.他人のお世話をするのが好きのマインドからはじめよう!
2.まちの小さな場所(道端、路地裏、こもれび)は子どもも人もつなぐ!
3.記憶や夢を実現しようの発想をもって、物語の主人公になれるかも!
4.タンケン、ハッケン、ホットケンでまちを好きになる!場所、人の宝をみつけよう
5.エンターテイメントの食べること、作ることで多世代がつながる!
6.リセットしよう!モノ、カネ、セイドありきから、ヒト、クラシ、イノチへ
7.あきらめずにあらゆるトラブルをエネルギーにする!どうしようもなくなったら、トラベル(タンケン、ハッケン、ホットケン)へ
8.延々と深深とひとりひとりが生きるリズムを大切にする!
9.我流の気持ち持ち寄り、子どもを媒介にしながら、多様な偶発的な居場所、対立を対話にし、育もう!
10.輪を広げよう多様な小さな縁側を!むしろ心の縁が輪を育め。

 私も昭島のまちで、小さな公共空間をいっぱい作ろう!自分も何かできる!そんな勇気ももらえた学び合いでした。

 そういえば、私は子どもの頃、長屋みたいな借家に住んでいました。両親が共働きのため、晩ご飯は新婚家庭のお隣さん家で食べさせてもらっていました。近くの原っぱ遊び、レンゲ畑で首飾りを作り、数珠をとりお手玉にし、遊びました。そこには隣近所の温かい関係がありました。安心して遊べる空間、人の見守りが感じられる空間がありました。

 今、隣に誰が住んでいるのかわからない。団地の中で同じ階段を使っている同士あいさつもない。挙句に孤独死なんて非情な言葉も耳にする世の中。私はそんな社会は嫌だ!まちの縁側(縁が輪)のように、ヒトとヒトが交流し、関係が紡がれていくまちにしたいとあらためて実感しました。