地球温暖化対策にはならない原子力発電所

2010年2月28日 23時55分 | カテゴリー: 環境・平和

「核=原子力」発電の問題点を改めて問う講演会に参加して

核・原子力のない未来をめざす市民集会@練馬主催、会場の武蔵大学8603教室は満席
核・原子力のない未来をめざす市民集会@練馬主催、会場の武蔵大学8603教室は満席
 核・原子力のない未来をめざす市民集会@練馬主催による、原子力について、小出裕章さん(京都大学原子炉実験所)の科学者としての指摘は説得力がありました。

 日本には、55基の原子力発電所があります。二酸化炭素を出さないを売りに、多くのマスコミを使い、広報宣伝活動を進めている原子力発電所。原子力発電所は、核分裂生成物、死の灰を生みます。二酸化炭素は、地球生命環境にとって必須の物質ですが、核分裂生成物質(死の灰)は、いかなる意味においても有害な物質です。

 はてさて原子力発電所は、コマーシャルされるように本当に二酸化炭素を排出しないのだろうか?
 
 ウラン鉱山で掘って、精錬し、核分裂性ウランを濃縮し、原子炉の中で燃えるように加工するすべての過程で、厖大な資材とエネルギーが要り、原子炉を運転するためにも厖大な資材とエネルギーが要り、たくさんの化石燃料が必要です。運転すると二酸化炭素が放出されます。だから宣伝では「発電時に」(二酸化炭素を排出しない)という言葉を追加せざるを得ないのです。

 核分裂現象は、二酸化炭素を生みませんが、その代りに核分裂生成物、死の灰を生みます。死の灰、核分裂生成物の寿命にも長いもの短いものがあり、代表的なセシウム137の半減期は30年、1000分の1に減るのに300年かかります。プルトニウム239の半減期は2万4000年、1000分の1減るのに24万年かかります。原子力発電所の使用済み燃料は、およそ100万年にわたって隔離しなければならない危険物。現在青森県六ケ所村に建設された貯蔵施設は、50年間目処に貯蔵して当座をしのぎます。2000年5月の法律で、地下300〜1000mに埋め捨てる方法が唯一のものと決められました。100万年後の社会など想像することなんて誰もできません。将来の子どもたちに背負わせるに、あまりに危険なものではないでしょうか。

 また当初建設に7600億円と試算されていました。しかし次々計画が見直され、現在すでに2兆2000億円つぎ込まれ、2002年には運転、解体する費用として12兆円を超えると公表しました。再処理場建設は、国の事業仕分けにぜひともいれてほしい事業です。

 地球温暖化対策というならば、今の電気の使い方、エネルギーを浪費する私たちの生活を考えねばならない。今後オール電化が進むから、電気が足りないという宣伝もあるようです。ならば、まずはそのような生活を見直すべきです。

 しかし原発建設は進められています。現在山口県の瀬戸内海に面した上関に原発建設計画があります。上関には、カンムリウミスズメ、スナメリ、ムラサキガイ、フジツボ・・・多くの豊かな自然が残っています。原発の温排水は、豊かな自然を壊します。豊かな恵みを奪います。反対する住民の人々、海上でカヤックに乗って反対をする若者たちも、講演会会場にきて、訴えました。
  
 さて放射線を発見したのは、1895年ドイツのレントゲン。その後、ベクレル、キューリー夫妻がその正体をつきとめようと研究をしてきた。放射能が何であるか知らない時代、キューリー夫妻の夫のピエール・キューリーは、体を壊し、道路をふらふら歩いているところ馬車に撥ねられ死に、妻のマリー・キューリーは白血病で亡くなりました。五感に感じない放射線に被曝して、多くの研究者たちが亡くなりました。
 
 研究でわかったことは、4グレイ被曝すると半数が死に、8グレイの被曝すると絶望状態です。(グレイ:放射線の被曝量は物体が吸収したエネルギー量で測ります。単位は「グレイ」)

 1999年9月30日の茨城県東海村の核燃料加工工場(JCO)の臨界事故の記憶は鮮明に覚えているのではないだろうか。事故で被曝した労働者の大内さんが18グレイ、篠原さんが10グレイでした。東大病院へ搬送され、日本のできる限りの最高の医療をもって、治療にあたりましたが、83日間で帰らぬ人となりました。包帯でぐるぐる巻きにされた被曝者の記憶は今でも鮮明です。
 またチェルノブイリの事故では、8200km離れた日本にも放射能は飛んできました。

 ウランの核分裂現象が発見されたのは、第二次世界大戦前夜、1938年の暮のころでした。ナチスの迫害を逃れて米国に移ったアインシュタインがナチスより先に原爆を作らなければならないと米国原爆製造計画「マンハッタン計画」が始まりました。
 自然界にある元素で核分裂を起こすのはウランだけです。ウランには2種類あり、ウラン全体の0.7%しか存在しない「核分裂性ウラン(U235)」と「非核分裂性ウラン(U238)」です。原爆を作ろうとしたら、U235を集めてこなければなりません。その作業「ウラン濃縮」をするには、とてつもなくエネルギーを必要としました。そこで超優秀な科学者たちは、U238核分裂性のプルトニウム(PU239)に変換し、PU239で原爆をつくることを考え出しました。マンハッタン計画でウラン原爆とプルトニウム原爆を完成させました。広島で燃えた原爆は、800gでした。今日標準となった原子力発電所の場合、1年間の運転で約1000㎏、広島原爆に比べて1000倍を超えるウランを燃やします。当然燃えた分だけ死の灰ができます。

 原子力のことを知り尽くした小出さんの報告には、危機迫るものがあります。「間違った夢を抱いてしまったのであれば、それを気付いたときに誤りを正せばいい。ところが原子力を進めてきた人たちは、自分たちの誤りに頬かむりし、嘘に嘘を重ね、誰も責任を取らないまま窮地に陥ってきている」という言葉に、怒りとともに小出さんの勇気に感謝です。

 現在経済産業省は、エネルギー基本計画を見直しています。いまもなお「原子力発電を基幹電源として位置づけ、核燃料サイクルを推進」「原子力立国実現に向けた政策展開」「我が国の技術や経験を生かし、積極的に国際展開を進める」姿勢は、見直さねばならない。原子力の危険性を知ったからには、声を出さずにはいられない。